新生活シーズンのストレスと機能性ディスペプシア(FD)
春は卒業、進学、就職などのライフイベントが重なる季節ですね。
新しい環境にワクワクする一方で、生活リズムが変わったり、
新しい人間関係に慣れるまでのストレスを感じることも多いと思います。
実は、こうした「春のストレス」が胃腸の不調につながることがあります
特に、機能性ディスペプシア(FD)はストレスの影響を受けやすく、春先に症状が悪化する方も少なくありません。
機能性ディスペプシア(FD)とは?
FDは、胃カメラなどで異常が見つからないのに、
胃の痛みやもたれ感が続く状態を指します。
診断基準としては、Rome IV基準が用いられ、
以下のような症状がある場合にFDと診断されます。
Rome IV基準によるFDの診断基準
✅ つらい心窩部(みぞおち)の痛み
✅ つらい心窩部の灼熱感
✅ つらい食後のもたれ感
✅ つらい早期満腹感
FDは「ストレス胃」とも呼ばれることがあり、
春の新生活シーズンのストレスと関係が深いのです。
ストレスとFDの関係は?
春の環境変化は、知らず知らずのうちにストレスをため込む原因になります。
例えば、
職場の夜勤勤務によるストレスや睡眠不足がFDや過敏性腸症候群(IBS)のリスクを高める
ことが報告されています[2]。
これまでの診療経験上も、春先になると「胃が重い」「胃の痛みが続く」と相談に来る患者さんが増える印象です
「もともと胃が弱いんです…」という方も多いですが、詳しく聞くと進学・転職・引っ越しなどのライフイベントが重なっていることがよくあります。
睡眠不足も要注意!
「忙しくて寝る時間がバラバラ…」
「新生活が始まって緊張して眠れない」
なんてこと、ありませんか?
実は、FDの患者さんの約40%が睡眠障害を抱えているというデータもあります [4]。
夜ふかしが続いている方は、まず寝る時間を一定にすることから始めてみましょう。
春のFD対策!気をつけたいポイント
🟢 ストレスをためこまない
→ 気軽に話せる人と話す、趣味の時間を作る、軽い運動を取り入れる
🟢 睡眠のリズムを整える
→ 寝る時間・起きる時間を一定にする、スマホの使用を控える
🟢 食べ方を工夫する
→ ゆっくりよく噛んで食べる、脂っこいものや刺激物を控える
🟢 適度な運動を取り入れる
→ 1日10~15分の軽いウォーキングでもOK!
🟢 気になる症状は早めに相談
→ 「そのうち治るかな」と放置せず、胃の不調が続くなら専門医に相談を🏥🩺
まとめ:無理しすぎないことが大事!
春は新しいことがたくさん始まる季節ですが、がんばりすぎるとストレスがたまり、知らないうちに胃腸の調子が悪くなってしまうことも。
「最近胃の調子が悪いな…」と思ったら、生活習慣を見直すチャンスかもしれません。
⚠️ この内容は医学的参考情報であり、具体的な診断や治療については医師の診察が必要です。
気になる症状がある場合は、お気軽にご相談ください!
参考文献
- Stanghellini, V. (2016). Functional Dyspepsia and Gastroparesis. Gastroenterology, 150(6), 1320-1333. doi:10.1053/j.gastro.2016.02.031
- Kikuchi, H., et al. (2017). Impact of Night Shift Work on Gastrointestinal Symptoms in Japanese Hospital Nurses. Scandinavian Journal of Work, Environment & Health, 43(4), 333-340. doi:10.5271/sjweh.3649
- Van Oudenhove, L., et al. (2016). The Role of Stress in Functional Dyspepsia. Nature Reviews Gastroenterology & Hepatology, 13(1), 52-59. doi:10.1038/nrgastro.2015.170
- Lee, Y. J., et al. (2020). Association Between Functional Dyspepsia and Sleep Disturbance in the General Population. Journal of Clinical Gastroenterology, 54(5), 447-453. doi:10.1097/MCG.0000000000001252